2010年09月
2010年09月02日
前号#003の「アイデア・シナジー」の導入により、弊社では社員一人一人の持つアイデアを他メンバーと共有できるようになりました。さらにプロジェクトの生産性を上げるために、新たな取り組み「クロスレビュー」を始めました。
それは「提案書・プレゼン資料など、発表物8割型仕上がった時点で、他メンバー2人以上に見せ、レビューを求める」というものです。差し迫った仕事がある時以外、その日に出勤している社員は全員集まり、上司のレビューを控えた社員の提案書やプレゼン資料を事前チェックし、忌憚のない意見を述べます。
この「クロスレビュー」には、2つの重要なポイントがあります。
(1)なぜ「8割仕上がった時点」なのか?
「仕事の2:8の法則」として「最初の8割が2割、後の2割の詰めが8割の効果を上げる」というものがあります。クロスレビューでは、まさにその8割の効果を上げる最後の2割を作り上げる前に、他者の視点からチェックが入ります。まだ資料が5割ほどの完成度で、中途半端で具体的アドバイスができない段階でもなく、完成してしまって修正のしようがない段階でもない、ちょうど良い段階なのです。なお、「8割」は量的な問題ではなく、本人が「だいたいできあがったかな」と感じた時点を基準としています。
(2)なぜ「他社員2人以上」なのか?
途中経過をチェックしてもらうことが重要なのはわかったが、別に他社員に見せなくとも、プロジェクトの上司だけに見せればそれでいいじゃないか、と思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、上司と社員の一対一だと、知らず知らずのうちにお互いの「暗黙の了解」ができてしまい、重要な点が見落とされてしまう危険性があります。2人以上の社員からチェックされることにより、多様な視点を得ることができ、多くの人に理解され、支持される提案が作れるのです。
また、この「クロスレビュー」には、3つのメリットがあります。
(1)時間コストの削減
他の人から多くの視点を取り入れることによって、プレゼンがより精緻で、説得力のあるものに仕上がります。また細かなモレやミスもチェックできるため、資料の精度が上がります。
(2)尻込み防止・イメージ共有の促進
せっかくよいアイデアを思いついたとしても、「このアイデアはどうせ上司に却下されてしまうだろう、提案するだけ無駄だ」と尻込みすることはありませんか。クロスレビューでは、相手は自分と同じ職位。気にせずにアイデアを出すことができます。一見するとくすんでいるアイデアの原石が、他者によって磨かれ、大きな成果を生むことができるのです。
(3)プロジェクトスタートの円滑化
もし社員が提案したものがプロジェクトされた場合、そのプロジェクトが「どのような経緯で作られていたのか」「途中経過はどうだったのか」を他社員も前もって把握することができます。根本を知っているため、プロジェクトを実際に導入する際に、社員の「巻き込み力」を強化することができます。
どんな仕事も、複数人から、途中のフェーズでチェックが入ることにより、結果的に生産性が上がるのです。
(リサーチャー C・M)